アイルランド神話
アイルランド神話の資料はすべて中世初期以降のものである。その地にキリスト教が覆いかぶさるにつれ、アイルランドの神々は土着の文化と共にゆっくりと消滅していった。生き残った資料の中には、トゥアハ・デ・ダナーン(ダーナ神族)とフォモール巨人族を扱ったもの(これは『マグ・トゥイレドの戦い』(Cath Maige Tuireadh)の根拠となった。)、『侵略の書』(Lebor Gabala Erenn)といった歴史に焦点を当てたものなどがある。ダーナ神族は王権、芸術、戦争などといった人間社会の様々な職能を代表し、一方でフォモール族は混沌と野性を代表している。
おすすめ情報
アイルランド神話は大きく別けて四つのサイクルに分けられる。
- 神話サイクル(Mythological Cycle) - 神々の物語を扱うサイクル。
- アルスターサイクル(Ulster Cycle) - 英雄クー・フーリンの活躍を中心とするサイクル。
- フェニアンサイクル(Fenian cycle) -フィン・マックールと彼の率いるフィアナ騎士団(Fianna)を中心とするサイクル。
- 歴史サイクル(Historical Cycle) - 歴代のアイルランドの君主を扱うサイクル。
- ダグザ
- アイルランド神話の最高神はダグザ(Dagda)と考えられている。ダグザはアイルランド人気質を具現化した存在であり、ほかの神々と人間のもととなったとされる。なお、ケルトの神々は起源が不明である点と専門分野を持っていない点から、全体でひとつの氏族(clan)を構成していたと考えられる。ダグザはアイルランド神話の中ではおどけた洒落の効く神として描かれており、ダグザが人に小馬鹿にされるが寛大に耐え忍ぶ、という結末の神話すらある。
- ダグザはアイルランドの伝承では槍を持った力持ちの神として描かれている。ガリアの槌と杯を持つ神スケッロス(Sucellos)に対応するとされる。
- モリガン
- モリガン(Morrigan)は三位一体の戦いの女神である。彼女は一つの神格としてはモリガンとよばれるが、三位の各部分はそれぞれヴァハ(Macha)、ネヴァン(Nemhain)、バズヴ(Badb)という。
- これらの3柱はそれぞれ戦闘の違う側面を体現している。彼女は『クーリーの牛争い』(Train Bo Cualinge)に登場することで知られている。この中で彼女は主人公クー・フーリンを助けたり、邪魔したりする。そして、『マグ・トゥイレドの戦い』の中では、詩人にして魔法使い、さらに権力者という複数の役割を演じ、ダーナ神族に勝利をもたらす。彼女(達)はほぼ毎回カラスもしくはオオガラスとして描かれ、その場合はバイヴ・カハ(バズヴ・カタ、Badhbh Cath)と呼ばれるが、ウシ、オオカミ、ウナギなど、他の多くの生き物にも変化できる。
- ルー
- 太陽神ルー(Lugh)。?ルー(Lugh, 古期アイルランド語ではルグ[Lug])は、ケルト神話の太陽神(光の神)。アイルランド伝承文学ではトゥアハ・デ・ダナーン(ダーナ神族)の一人で、「長腕のルー」のあだ名で知られる。
工芸・武術・詩吟・古史・医術・魔術など全技能に秀で、「サウィルダーナハ」(Samildanach「百芸に通じた」の意)や、「イルダーナハ」(Ildanach)の別名の所以となっている。ドルドナ (Dul-Dauna) は、民話によるその訛り。
- ブリギッド
- ブリード(Brigit, Brighit, Brid,Briid,Brigid)は、アイルランドの女神で、キリスト教到来以前に、アイルランドで広く信仰されていた。火、金属細工、豊穣、家畜、作物の実り、そして詩の女神である。その名はアイルランド語で「崇拝される者」あるいは「高貴な者」という称号から来ている。ブリギッドとも呼ばれる。
- マッハ
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マッハ(Macha)は、ケルト神話に伝わる戦いの三女神の一柱。正確には古アイルランド語でヴァハと呼ばれ、その名は「戦」、または「怒り」を意味する。 「赤い鬣(たてがみ)のマッハ(Macha Mong Ruad)」または「赤毛のマッハ(Macha Dearg)」と呼ばれることもある。
馬、戦い、豊饒、および主権を司ると言われる。赤い髪に真っ赤なドレスとマントに身を包み、赤い一本足の馬に引かせた戦車で戦場を駆け巡る。戦士達を戦闘の狂気の渦へ導くとされている。モリガンが魔法の他に槍を用いて戦うのに対しマッハは常に魔法のみを用いて戦う。戦死者の首を食べるとされ、「ヴァハの木の実の餌」と呼ばれるケルトの敵の首を門に飾る風習は彼女への供物だといわれている。
モリガン、バズヴと共に三位一体神バイヴ・カハ(バズヴ・カタ)を構成する。
神話ではデルバイス(Delbaeth)神と女神エルンワス(Ernmass)との間の娘で、姉のモリガン達と共に三姉妹揃って主神ヌアザの妃を務める。フィル・ヴォルグ族との戦いでは魔法を駆使してトゥアハ・デ・ダナーンの勝利に貢献している。そして最期は、フォモール族との戦いでバロールの放ったクロウ・クルワッハにネヴァン、ヌアザと共に殺された。
また、マッハは何度も転生を繰り返し、ネヴェズ族の族長の妻やミレ族の王女、クルンヌッフ(クルンチュー)の妻の妖精となって度々神話に登場している。
- ゴヴニュ
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ゴヴニュ(Goibhniu、Goibniuとも)とはケルト神話の技術と鍛冶神。女神ダヌの息子。トゥアハ・デ・ダナーン(ダーナ神族)に属する。魔法の槌を三振りするだけで完璧な武器を製作することができる。金属工師クレーニュ、建築士ルフタ、と三人一組の神。戦場で、奇跡的な速さでダーナ神族の武器を直した。
異世界にて催される「ゴヴニュの祝宴(Fledh Ghoibhnenn)」において彼の振舞う酒には不老不死の秘術がかかるよう施されている。
ウェールズではゴヴァノンがこの神に相当する。