アイルランドについて
地理
アイルランド島の南側、約6分の5がアイルランド共和国、残りは北アイルランドで英国領である。面積は70,282km2(北アイルランドを加えると84,421km2。北海道よりもやや広い)、南北に約500km、東西に約300kmある。
大西洋の北東部にあり、東のアイリッシュ海でグレートブリテン島と隔てられている。
中央部は氷河によって堆積した粘土と砂を含む石灰岩の低地が広がっており、沼地や湖が多く存在する。山岳地帯は主に沿岸部に分布している。北東部に玄武岩台地があるほかはほとんどの地域が花崗岩に覆われている。
温暖なメキシコ湾流と、大西洋から吹く偏西風の影響で気候は安定した西岸海洋性気候となっており夏は涼しく、冬は緯度の高い割に寒くない。また、地域による気候の差もほとんどない。平均気温は、もっとも寒い1月と2月で4〜7℃程度、もっとも暖かい7月と8月では14〜17℃程度である。最低気温が-10℃より下がることや、最高気温が30℃を超えることはほとんどない。
年間の降水量は、平野では1000mm程度である。山岳部ではさらに多く2000mmを超えることもある。月ごとの降水量はほとんど変わらない。
おすすめ情報
経済
詳細は「アイルランドの経済」、「ケルトの虎」、および「PIIGS」を参照
アイルランド経済は他のヨーロッパ諸国と比べ小規模であり国際貿易に大きく依存している。かつては西欧でも長きにわたりポルトガルなどと並び最貧国のひとつに数えられたが、10年代に入ってからEUの統合とアメリカを中心とした外資からの投資などにより急成長を遂げた。15年から2000年の経済成長率は10%前後であり、世界において最も経済成長を遂げた国のひとつとなった。以前に経済の中心をなしていた農業は産業の工業化により重要度が低下した。現在では工業はGDPの46%、輸出額の80%、雇用の2%を担っている。近年のアイルランド経済の力強い成長は外資企業・多国籍企業や輸出が寄与するところが大きいが、国内における個人消費および建設、設備投資による影響も見逃せない。好調な経済に伴いここ数年のインフレ率は4%から5%で推移していたが、2005年度には2.3%に低下した。アイルランド国民の関心を集めている住居価格は2005年2月で251,281ユーロだった。失業率は低水準を維持しており収入も順調に増加している。世界の主要都市における調査によると、アイルランドの首都ダブリンは22番目に物価の高い都市であり、2003年度の調査から2位上昇している。アイルランドはEUの中でルクセンブルクに次いで人口あたりGDPが大きい国であり、これは世界においても4位に位置している。
ただ、OECDの調査によると他の欧州諸国と比べても貧困率が高い傾向があり、今後の経済成長に期待するべきである。2007年度より、経済の急激な落ち込みが始まり、特に不動産価格の急激な下落が記録されている。同年より起きた世界的なサブプライム問題によって多くの銀行・証券会社などが巨額な損失を発表しており、また2008年には経済が2.5%程度縮小(見込み)、失業率が前年の5%から10.4%に上昇するなどユーロ圏でも特に深刻な不況に陥っている。
農業
国土の16%が農地、47.7%が牧場並びに牧草地として利用されている。農業従事者は16万人であり、生産年齢人口(国民の67.5%)のうち、5.7%を占める(以上2003年時点の統計値)。アイルランド経済は貿易依存度が高く、同時に農業、特に牧畜業に依存している。しかし、貿易(輸出品目)の上位には農業生産物が登場せず、国内消費を満たす生産水準に留まっている。
主要穀物では、オオムギ(116万トン、以下2004年の統計値)、次いでコムギ(85万トン)、第三位に馬鈴薯(50万トン)が並ぶ。野菜類ではテンサイ(砂糖大根、150万トン)が飛び抜けており、次いでキャベツ(5万トン)の栽培が盛ん。畜産ではウシ(704万頭)が中核となり、次いで羊(485万頭)、ニワトリ(1280万羽)である。このため、畜産品である牛乳の生産(550万トン)は世界シェアの1.1%に達する。
鉱業
アイルランドの鉱業は鉛と亜鉛を中核とする。2003年時点で鉛鉱の生産は5万トンで世界シェア位、亜鉛鉱は25万トンで同8位である。ミース州ナヴァンに位置するタラ (Tara) 鉱山はヨーロッパ最大の鉛・亜鉛鉱山。他にキルケニー州とティペラリー州にも鉱山が点在する。いずれも海水を起源とする層間水が石灰岩層にトラップされて形成されたアルパイン型鉱床の代表例である。これ以外の金属資源としては銀もわずかに産出する。有機鉱物では天然ガスを採取しているが、消費量の数%をまかなうに過ぎない。埋蔵されていた無煙炭はほぼ枯渇している。
国民
ケルト系のアイルランド人が大多数を占める。
言語
第1公用語はアイルランド語、第2公用語は英語と規定されている。しかしゲールタハト地方などの一部を除くほとんどの地域では英語が使われている。アイルランド固有の言語であるアイルランド語は長年のイギリス支配により英語にとって変わられ、衰退してしまったが、近年は政府による積極的なアイルランド語復興政策が実行されている。政府による文書などもアイルランド語と英語の2言語で発行され、2007年にはアイルランド語はEUの公用語に追加された。テレビやラジオなどでもアイルランド語による放送がある。義務教育ではアイルランド語が必修であり、公務員試験でもアイルランド語の試験が課せられる。アイルランド語復興政策の影響で、2006年センサスによると国民の3%がアイルランド語を十分に話すことができるようになった。しかしながら、ゲールタハト地方などを除くとアイルランド語は日常会話ではあまり話されていないのが現状である。 2006年にはおよそ、7万人程度がアイルランド語を日常的に用いているという統計がある。
宗教
アイルランド共和国は国家として宗教に中立な立場を取っている。国民の約86.8%がローマ・カトリック教徒である(2006年)。アイルランドの守護聖人は聖パトリックと聖ブリジット。カトリック以外ではアイルランド国教会、長老派教会、メソジストと続く。近年イスラム教の増加もあり16年にはダブリンのクロンスキーにモスクが出来た。
おすすめ情報
教育
詳細は「アイルランドの教育」を参照
アイルランドにおける教育システムは他の西ヨーロッパ諸国の例と大きな違いはない。各段階の公立、私立学校双方の授業、運営にカトリック教会が関与する点が特徴である。詳しくはアイルランドの教育を参照のこと。
トリニティ・カレッジの物理学者アーネスト・ウォルトンは151年にノーベル物理学賞を受賞している。